ブッダダンマ各論

ブッダの教えについて各論、雑感を述べていきます。初めての方はブログもどうぞ。http://mucunren.hatenablog.com

ダンマ

絶対的、相対的価値観

世間では「絶対的な価値観はない」とか「多様な価値観を認めるべきだ」と言うような話があります。しかし、全ての人にそれぞれの価値観があり、それらを全て認めるということは、「力が強い者が全てを制し、他者から奪っても良い」とか「私あるいは我々こそ…

寂しさ、孤独感とその克服

六根の喜びが苦、というのはこのブログの読者の方ならばご存知でしょうし、感情はそれを「自分のもの」と思って支配されれば苦です。当然「寂しい」「孤独だ」と言う感情も例外ではなく、むしろ普通の人にも解りやすい苦です。 少なくとも「寂しくて幸せ」と…

戒律、パーティモッカと経典の内容

ブッダはダンマ(ブッダの示す真実、教え)を説き始めて間もない頃、サンガ(比丘、出家の集団)の規模が小さく皆に自分の目が届いて直接教育できるうちは、比丘の理解も深く行いも正しいのでパーティモッカ(戒律、決まり)は定めないが、サンガの規模が大…

戦争、争い、恨みについて

今年で原爆投下から70年が経つ事になります。また、今日は長崎で原爆が投下された日でもあります。兵器は人を殺傷する目的の道具であり、全てが非人道的なものですが、原爆はその最たるものであり、決して使用してはいけないものです。どの様に取り繕った所…

核兵器と原子力

あまり世俗の話をどうこう述べても因果、縁生の循環の話にしかならないのですが、原子力の問題はその循環を見るための好例と言うことはできます。 1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下されてから今年で70年が経ちます。被爆された方もその大半が亡くなり、年…

嘘の損得

平然と嘘をつく人を見かけることは珍しくありません。人を導く立場である筈の聖職者、教師などでも嘘を付いている人は残念ながら少なくない様です。 これは何故でしょうか?それは嘘を付いた時に生じる大きな損失が見えずに、嘘によって得られるその場凌ぎの…

結婚、妊娠、出産、育児 その2

*この話は深いダンマです。世間の常識的価値観とは相容れない四聖諦の見地からの内容ですので、その種の話が受け入れられない方はお読みにならない事をお勧めします。 セックスによって妊娠すると、本人を含めて周囲の人も結婚と同様にそれを良いことだとし…

結婚、妊娠、出産、育児 その1

*この話は深いダンマです。世間の常識的価値観とは相容れない四聖諦の見地からの内容ですので、その種の話が受け入れられない方はお読みにならない事をお勧めします。 人類はかなり昔から少数の例外を除いて結婚と言う制度を用い、妊娠、出産によってその存…

心の老いと死、輪廻

肉体が必ず老いて死ぬ事は誰もが認める事実ですが、心も肉体と同じ様に老いと死があります。 例えば子供の頃に大好きだった泥遊びやごっこ遊び、がらくた集め等を、大人になってからその時と同じ気持ちで楽しむことは普通出来ません。 あることに夢中になっ…

「慢」の煩悩

慢心と言う単語はよく耳にします。何かしら自分は優れているとか、義務から解放されているとか、その種の「自分は他者より優位な状態にある」と言う心の状態が慢心と言えるでしょう。 「優れている」と感じるのは、必ず何かしら自分の立場や能力などに自信を…

性欲の克服、不浄観

ブッダヴァチャナ(ブッダの言葉)を見ていると、渇望を捨てなさいと言う教えが何度も出てきます。 渇望の中でもとりわけ性的な事を避けなさい、捨てなさいとあります。男女の分け隔てなく、性的な欲求から来る衝動や満足に、ほとんど誰でも夢中になっていま…

貪瞋痴と習慣について2

自動車の運転などでもそうですが、慣れないうちは一つ一つの動作をかなり意識的に行う必要があります。また、判断も動作も練度は低く(要するに下手で)、時間もかかります。 例えば狩猟生活や農業などの生産活動を考えれば、必要な動作や判断がいつまでも下…

貪瞋痴と習慣について1

仏教は煩悩(ぼんのう)の三毒である貪瞋痴(とんじんち)を減らす事を説きます。貪瞋痴とは何でしょうか。 貪欲(どんよく)、瞋恚(しんに、怒り)、無痴(むち、無知)の事です。 貪欲は何かを強く欲しがる、したがる衝動です。欲には何かしら満足するも…

休日と仕事、義務

GWも本日が最終日ですが、休みの日とは言えゆっくり心身が休まるとは限りません。 行楽などに出掛ければ楽しいかわりに身体は大変疲労したりします。嫌々付き合いで行ったりすれば疲労は倍増です。まして家族サービスのためなどで長距離を運転したりすれば尚…

無欲とは

「仏教は無欲を説く」と言うと「欲が無いと食欲も睡眠欲も無くて死んでしまうのではないか?」と言う疑問が当然生じると思います。 確かに欲が無くなれば死んでも構わない訳で、完璧に悟った阿羅漢はいつ死んでも構わない心の状態になる訳です。 しかし、完…

花を美しいと思う心

美しい花を見て「美しい、、、」と感じたり、赤ちゃんや猫などを見て「可愛い、、、」と思う人は沢山います。 至極普通の事ですが、ダンマの視点から見ればその人達は目で見た美しさにうっとりして陶酔しています。美しさ、可愛さを「自分のもの」と掌握する…

怒りと性欲、その仕組み

ブッダの教えを見ていると、ほとんどが欲(特に性欲)と怒りの話と言う印象を抱くことがあります。 考えてみれば確かに人が苦しむ原因の大部分は欲と怒りなのです。 欲(性欲)は素早いもので、多くの男性は魅力的な女性が近くを歩いているだけで目が釘付け…

怒りと苦しみ

怒ると言うのは本当に苦しい事で、怒っているときに無上の幸福を味わっている人はいないでしょう。 私もダンマを学んで実践するまでは、瞬間湯沸し器の様にすぐカッとなる様な性格でしたが、それこそ毎日24時間、我、身勝手を減らす様に心を注意してきて、最…

議論と口論

ブッダが教えを説いたインド周辺では、議論が盛んな文化があった(ある?)ようです。 多くの人々が「何故?」と言う事を良く考え、感情的に少々不満を感じても、論理的に納得できれば認めると言う考え方は、日本にはやや馴染みが薄いのかも知れません。 し…

徳と仏道修業

ブッダがアジャータサトル王に教えを説いたとき、王が在家信者となる意思を示したと言う経があります。 ブッダは弟子の比丘に、「王から深い信仰を感じた。もし王が父王であるピンピサーラ王を殺す罪を犯していなければ、彼は出家して阿羅漢となっただろう。…

身体の中の無常と禅定

有為の全ては無常と言うのがブッダの大切な教えですが、油断すると直ぐにこれを忘れてしまうのもまた人と言うものでしょう。 例えば歩いているときの身体を見てみましょう。呼吸は常に止まらず、吸って吐いてを繰り返します。つまり循環です。 右足を出して…

無為

これまでも何回か述べてきましたが、有為のものと言うのは存在のために存在が必要なもの、原因と結果、発生と消滅を繰り返すものと言う意味です。 我々人が六根(五感と心)で認識しているものは全て有為です。 物質の色、形や音、臭い、味、触感はもちろん…

因果

ブッダに最初に教えを受けたアッサジと言う比丘が托鉢している様子を見て、ウパディッサ(後のシャーリプトラ、般若心経の舎利子)は「あなたの師はどういう方ですか?どういう教えをされるのですか?」と聞くと、アッサジ比丘は「私もまだ入門して日が浅く…

避けるべき輪廻

輪廻転生は肉体が死んで生まれ変わる事に限らないと言う話をブログには書きましたが、そもそも輪廻は良いものでしょうか、それとも避けるべきものでしょうか。 「肉体が死んだあと、全く記憶が消えるなら同じ人生を歩んでも構わない」と言う人もいます。 そ…

ダンマが一番

以前プッタタート比丘のサイトを拝見していて「どんなものが一番満足できるものですか?」とブッダが聞かれて「ダンマ」と即答したと言うくだりがありました。 当時まだダンマを学び始めて日が浅かった私は「理屈じゃそうなんだろうけど、娯楽や、美食、特に…