ブッダダンマ各論

ブッダの教えについて各論、雑感を述べていきます。初めての方はブログもどうぞ。http://mucunren.hatenablog.com

徳と仏道修業

ブッダがアジャータサトル王に教えを説いたとき、王が在家信者となる意思を示したと言う経があります。

ブッダは弟子の比丘に、「王から深い信仰を感じた。もし王が父王であるピンピサーラ王を殺す罪を犯していなければ、彼は出家して阿羅漢となっただろう。」と言ったとあります。

この話は良く徳(パーラミ)と仏道修業の成果の関係を示す例えとして引き合いに出されます。

この話は次のように解釈できます。 アジャータサトル王は、父殺しと言う大罪を犯してまでして王位を手に入れました。もしこれをしていなければ、父王は生きているのでアジャータサトル王子は素直に信仰に準じて出家できた筈です。

しかし、アジャータサトル王は父を殺してまで王位に就いたので、ブッダの教えを聞いて出家したくても、「父を殺してまで手に入れた王位を無責任に手放す事は出来ない」縛りが生じているため、状況的に出家出来なくなってしまっていたのです。

この様に徳、行いによって生じた環境が、仏道修業に影響を及ぼすことは間接的な因果だけでなく、直接的に明らかな理由で説明される事もあります。全ての場合がこの様に明らかとは限りませんが、普段善を為して仏道の正しさが見える様な心の状態になっていれば、得られる成果もそれに応じて高いものになると考える事は出来ると思います。

ブッダの教えを直ぐに信じなくても、善を為すことで損をする事はないと正しく見ておけば、滅苦の道は自然と開けるのではないでしょうか。