ブッダダンマ各論

ブッダの教えについて各論、雑感を述べていきます。初めての方はブログもどうぞ。http://mucunren.hatenablog.com

嘘の損得

平然と嘘をつく人を見かけることは珍しくありません。人を導く立場である筈の聖職者、教師などでも嘘を付いている人は残念ながら少なくない様です。

これは何故でしょうか?それは嘘を付いた時に生じる大きな損失が見えずに、嘘によって得られるその場凌ぎの小さな利益だけを見ているからです。

行きたくない場所に呼ばれたときに、「あ~その日はちょっと別な用事があって」とか、休みたいからひいてもいない風邪を引いたことにして「本日は体調が悪くて」などと嘘をつきます。

自分が欲しいのに「子供のプレゼント用に」などと言って物を買ったり、何万円もする服を買って「あ、これはほんの安物」などと嘘をつきます。

親が子供のお年玉を盗んだのを「貯金したから」と言って誤魔化す様な嘘も良くある事例です*1

ほとんどの場合、嘘は既にある罪を隠すためにつくので、元の罪が放置されるだけでなく、更にそれを嘘の罪で上塗りするのです。

腐ったゴミの臭いをきつい香水で誤魔化す様な物で、綺麗に掃除した清潔な望ましい状態からは離れる一方です。

嘘をつけば一時の追求を逃れると言うほんの少しの偽物の安楽を得られる事もありますが、本質的には何も解決していません。また、嘘を付いたその心の状態が既に物凄く悪い状態であり、安楽、平静とは程遠いのです。

長いこと逃亡生活を送っていた犯罪者が、逮捕された時にむしろホッとすると言う心理状態があるのは、逃げて隠し続ける大変苦しい状態をそれ以上続けなくて済むからです。

他の例えで言えば、嘘を付くのは手形を不渡りにしないために違法な金融業者から新しくお金を借りる様なもので、まさに地獄と言えます。

ただで100円貰えると思うので嘘を付くのですが、その100円を得るために後々10万円払わなければならないと知らないのです。

知っていたら誰もそんな事はしないのですが、「ばれなければ大丈夫」などと愚かな事を考えるのでまた今日も懲りずに嘘をつきます。

損得を真実ありのままにはっきりと知る事で、損になることである罪業、その代表である嘘を避ける事が本当の利益になることを知りましょう。

そして的外れな見方を止めて、正確な損得勘定をすることで、苦である罪業から離れることによる本当の利益を受け取りましょう。

*1:深く見れば嘘は盗みと密接に結び付いた罪だと言うことが解ります。