ブッダダンマ各論

ブッダの教えについて各論、雑感を述べていきます。初めての方はブログもどうぞ。http://mucunren.hatenablog.com

核兵器と原子力

 あまり世俗の話をどうこう述べても因果、縁生の循環の話にしかならないのですが、原子力の問題はその循環を見るための好例と言うことはできます。

 1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下されてから今年で70年が経ちます。被爆された方もその大半が亡くなり、年々生の体験談を聞ける機会は減るでしょう。

 ひとつ確実に言えることは、核兵器は何の利益も産み出さないと言うことです。もちろん兵器は全て捨てるべきものですが、核兵器などはその最たるもので、何の存在価値もありません。

 しかし、人間はまだ兵器を捨てられるほどには十分に賢くなく、無明にとらわれていて真実が見えていません。無知なので喜びの受を多く得るために他者の生命や財産を暴力で脅かすのです。これを国家規模で行うのが戦争です。

 また、喜びの受を餌にして処理できない毒を生成する機械を使って発電するのが原子力発電です。例えばあなたは便利だからと言って処理できない毒を発生する洗濯機、掃除機、冷蔵庫、電子レンジを使いますか?

 一定の智慧があれば毒よりは少しの不便を選択します。しかし、無明に覆われているので目先の利益に飛び付いて毒を選択するのです。

 電気が足りないなら夜寝れば良いのではないでしょうか。暑いなら団扇を使う、寒いなら服を着る、色々と工夫はできる筈です。電気は高々ここ百年前後で普及したもので、何も電気がなければ人類が死滅する訳ではありません。

 しかし、大規模な放射性物質汚染が世界中に起これば、人類だけでなく地上の生物が死滅する可能性があります。そして実際現在地上に用意されている核物質は、容易に地上の生物を殲滅できるのです。放射性物質を無毒化できる技術があるならまだしも、毒性を浄化出来ない現段階で、便利だからと言って原子力を安易に利用していれば、因果の法則を見れば決して良い結果が得られない事は容易に見えます。

 福島の事故はその好例です。人が寿命を全う出来ずに死ぬ結果が生じるのは、その様な原因があるからです。善因善果、悪因悪果は法則なので、これから逃れる事は出来ません。