ブッダダンマ各論

ブッダの教えについて各論、雑感を述べていきます。初めての方はブログもどうぞ。http://mucunren.hatenablog.com

戦争、争い、恨みについて

 今年で原爆投下から70年が経つ事になります。また、今日は長崎で原爆が投下された日でもあります。兵器は人を殺傷する目的の道具であり、全てが非人道的なものですが、原爆はその最たるものであり、決して使用してはいけないものです。どの様に取り繕った所で、戦争、中でも核兵器に関われば必ず不幸になります。

 戦争や紛争は人の集団同士が殺し合う大変愚かなものですが、全ての争いの原因は突き詰めれば個人ごとの利己的な欲望に起因します。人より少しでも多く喜びの受(感覚)を得たいと言う身勝手な考えが、あらゆる不和の原因なのです。

 仏教では戦う相手は自分の悪い心だけであって、他の人と争う様な事は行ってはいけないと教えられています。

 ブッダは弟子同士がダンマ(仏法)について口論している所に来て「争ってはいけない、恨み事は恨まない事によってのみ解決する、これは古い教えで、永遠に使えるダンマである」と教えたとあります。

 ブッダが滅苦のダンマを見出だす以前から、争いは恨まない事によってのみ解決すると知られていたのです。

 人間は自然のままの心では、どうしても害をなされるとその相手に害意を抱いてしまう傾向があります。しかしそこで踏ん張って、害意と言う毒を心の中に抱かない事で平和が実現できるのです。

 「やられたら、やり返す」と言う教えは、低い道徳の水準では便利に使えるので広く普及していますが、仇討ちが新しい憎しみを生み、更なる仇討ちを生じさせてしまいます。つまりこれは悪い循環を生む教えで、ブッダの勧める苦を減らすための真実ではありません。

 実践は簡単な事ではないのですが、「怒らない」「恨まない」事に最上の利益があると言う真実を明らかに見て、その利益を得るのが最上の道です。ブッダのダンマは、実践は到底容易とは言えませんが、人間にとって最高の利益をもたらすものです。