三つの幸福
幸福と一口に言っても人それぞれ何を幸福と言っているかが異なります。 真実をありのままに見るためには、言葉の定義はしっかりしなければなりません。
悪人が他者から何かを奪い取って満足するような事も悪人の言う幸福です。
また、六根の喜びに満足すること、欲の充足を幸福とすることもあります。これはカーマスッカと言います。
実際にはこれら二つの幸福は苦なので、味わって喜ぶのを避けるべき、恐れるべき幸福です。
三つ目の幸福は欲貪から離れた心の状態、禅定を喜ぶもので、これは恐れるべき幸福ではありません。この様であれば心は静かで、他者への加害の心などは一切生じません。
厳密には幸福はこの水準から上のものだけであり、欲の充足は幸福には分類されません。美味しいものを食べて「あ~幸せ」と思ったとしても、それは幻影です。
実際問題として幸福とは何かを正しく見ることは難しく、ほとんどの人は苦の海を回遊している事になります。
「生きる事は苦」と言うのは知識として承知するのすら大変な事ですが、納得するレベルまで得心するのは更に困難な事だと思います。