ブッダダンマ各論

ブッダの教えについて各論、雑感を述べていきます。初めての方はブログもどうぞ。http://mucunren.hatenablog.com

既婚者はどう生きるべきか

 欲望から生じる執着が苦の原因です、執着を減らすために性的な事から離れなさい、心を誰かに依存するのを止めなさい、と言うのがブッダの教えです。しかし当然ブッダの存命時にも結婚して家庭を持っている在家の信者はいました。

 在家信者、特に収入の担い手はダンマの素晴らしさを感じたとても、中々おいそれと家庭を捨てる訳には行かないでしょう。それでは在家の信者はどう生きるべきか、と言う話は必要です。

 ブッダの教えは「自分」、「自分のもの」と言う執着である我語取を捨てなさい、と言うものです。ですから端的に言えば在家の信者は家族を「自分の家族」家や財産を「自分の家、財産」と見ることを止めれば良いのです。

 これは家族や財産を捨てると言う意味に取れますが、心で所有するのを捨てると言う意味で、物理的あるいは法的に捨てると言う話ではありません*1

 家族も生老病死を共にする友と見て、親は敬う対象、老いれば助けるべき恩人と見て、配偶者はダンマを学ぶために助け合う仲間として見て、子供は「お預りしている」大切な宝と見て導き養い育てると言うことです。全て良き隣人、友と見ます。財産はダンマを学ぶため、友を助けるために「お借り」しているもの、方便と見ます。

 家族を「自分の親」とか「自分の妻、夫」とか、「自分の子供」などと見たり、財産などを「自分の財産」などと見れば、これらは執着で途端に苦です。

 しかし実際問題として家族と生活を共にしていながら、今までの「自分の(所有の)家族」と言う間違った見方を捨てるのはそう簡単ではありません。まして性欲や子供への執着を捨てることは困難を極めるでしょう。ですからブッダは「自分」と言う我語取を捨てるための最高の近道として出家を勧めたのです。物理的に捨ててしまえば心で所有するのはほとんど不可能なので、物理的に近くに置きながら心で捨てるよりもはるかに簡単なのです。

 常にダンマを心がけ、「自分のもの」と言う間違った見方から離れることが在家信者にも大切な事です。基本的に出家でも在家でも「自分」と言う執着である我語取を減らす事が苦を減らす事に繋がると言う真実に変わりはありません。

*1:もちろん、物理的に離れた方が執着から逃れ易いのは言うまでもありません。